さて、ここからは完全に個人的な好みというか、今の自分とのフィット感の話になってしまいますが、ハードなギターサウンドというか重いリズムの楽曲よりも、『Need Your Love So Bad』のノスタルジーを感じる曲に心が動いてしまいます。それはまるで昭和の風景じゃないかと言われてしまいそうなのですが、その切なさや、甘酸っぱさに包まれることを望んでいる自分がいるのです。なぜなのかは分かりませんが、もしかしたら10代の後半に憧れを抱いた大人へのイメージが湧き上がってくるのかもしれません。
ついにローリング・ストーンズが18年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム「Hackney Diamonds」を発表してくれました。キース・リチャーズは「全てはチャーリー・ワッツへのトリビュートだ」とのコメントを発表していましたが、喜んでいたのはチャーリーだけではなく、ファンの僕らも同じです。こうしてまたストーンズの新曲を聴くことができるのはとても嬉しいことですよね。いつもと同じ通勤途中の風景も、ガンガンにボリュームを上げて聴けば無敵になってしまいます。やっぱりストーンズはいいですね。それでも先行ダウンロードとして発表された「Angry」と「Sweet Sounds Of Heaven」を聞いた時点では、ミック・ジャガーは元気そうだけれど、キース・リチャーズの体調は大丈夫なのかと、とても心配していました。最近のライブ映像や音源を聴く限り、リュウマチのせいなのか?思うように腕や手を動かせていないようにも見えていたからです。実際にその先行ダウンロードされた2曲でも、キースはあまり弾いていないのでは?と不安の方が大きくなっていました。
ところが、そんな心配は発売日に吹き飛んでしまいました。アルバム全体の楽曲も素晴らしかったこともありましたし、ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダー、レディー・ガガ、エルトン・ジョン、ビル・ワイマンら、豪華ゲストを迎えたことで、聴きどころも満載で、その日はニヤニヤしながら聴き入ってしまいました。そしてなんと言っても、ラストに収録された「Rolling Stone Blues」のギター・リフが鳴り出した頃にはキース・リチャーズ様に最敬礼をし、思うように弾けていないのでは?などと疑ってしまったことをお詫びいたしました。ミックのボーカルとハープに絡み合うギター・サウンドは、変わらずに唯一無二の存在感だったからです。ま、ミックとキースにとっては、マディー・ウォーターズのレパートリーはブルースのDNAとして、彼らの中に受け継がれているものなのでしょうが、それを持っていたとしてもこのカッコよさには痺れてしまったのです。
さて、今回取り上げたフリートウッド・マックの「I loved another woman」ですが、作者はピーター・グリーンで、彼らのデビュー・アルバムに収められている名曲です。フリートウッド・マックは50年以上のキャリアをもち、メンバーも入れ替わることで別のバンドへと変化していくこととなるのですが、それぞれの年代で愛されたバンドでした。それでも僕が好きなのはピーター・グリーンが在籍した初期の時代です。わずか3年間という短い期間でしたが、その間に彼は「マン・オブ・ザ・ワールド」「Oh Well」「ブラック・マジック・ウーマン」などの名曲を数多く作り上げたのです。